<先に結論>

AIに作らせた文章を直すたびに、別の問題が出てくる。そんなやり取りが続くときは、禁止事項を足す前に、何を資料にして、どこまで書いてよいかを指定してください。資料が足りなければ、予定の本数はそろえなくてよいと伝えます。

SNSの投稿文をAIに作らせたとき、使う資料をファイルの場所まで指定したうえで2種類に絞り、本数はそろわなくてよいと伝えたところ、4回目の提出で採用できる文章になりました。

ただし、資料を指定したあとも、内容の確認は必要でした。

修正するたびに、別の問題が出た

作ろうとしていたのは、1日3本を4日分、あわせて12本の投稿文です。

書くのも確認するのもAIで、役割を2つに分けていました。書く担当が、公開済みの記事などをもとに投稿文を作る。確認する担当が、その投稿文を運営の記録と照らし合わせて、事実と違うところがないかを調べる。確認を通った文章を、最後に人が読んで投稿を予約する流れです。

提出された投稿文には、回ごとに違う問題がありました。

提出起きたこと次に変えたこと
1回目記事に書かれていない出来事が、事実のように書かれていた「記録にないことは書かない」と指示した
2回目作り話は消えたが、具体的な経験のない一般論ばかりになった使う資料と置き場所を指定し、実際の出来事の例と書き方の注意も一緒に渡した
3回目投稿本文にするつもりのなかった書き方の注意が、本文に混ざった使う資料を2種類に絞り、運営のなかのやり取りは使わないこと、12本そろえなくてよいことを伝えた
4回目10本を採用した

1回目は、書く担当が元の記事の本文を読まず、タイトルから内容を推測していました。そのため、記事にない出来事が投稿文に入っていました。確認する担当が記録と照らし合わせて見つけ、公開前に止めています。

そこで「記録にないことは書かない」と伝えました。2回目の投稿文から作り話は消えましたが、どれも、その話題を扱う人なら誰でも書ける一般論になっていました。実際にその仕事をしている人が書いた、という手がかりがありません。

このときの指示には、書いてはいけないことはあっても、どの記録を使い、何を具体的に伝えるかが示されていませんでした。

次は、使う資料を置き場所とともに指定し、実際に起きた出来事の例と、それをどう書けば伝わるかという注意も一緒に渡しました。3回目は、その注意がほとんどそのまま投稿本文に入っていました。読者からの信用を得るための、書き手に向けた助言まで、そのまま読者に見せる文章になっていました。

文章の材料と、書き方の指示は、分けて渡す必要がありました。

禁止だけでは決まらず、資料の範囲も絞る必要があった

「作り話をしない」「社内の情報を出さない」といった禁止事項は必要です。ただ、禁止事項だけでは、どの資料を見て、何を取り上げればよいかまでは決まりません。

今回も、1回目のあとは記録にないことを書かないよう伝えましたが、使う資料の置き場所までは指定していませんでした。2回目のあとに指定した資料は、運営の記録まで含む広い範囲で、書き方の注意も同じ指示の中に入っていました。

そこで4回目は、使う資料を次の2種類に絞りました。

  • 投稿の表示回数や記事の閲覧数など、実際に測った数字
  • すでに公開した記事の本文

あわせて、指定した資料の範囲で書くことと、運営のなかのやり取りは使わないことも伝えました。

3回目の前の指示 使う資料(場所つき) 実測の数字・公開済みの記事 運営の記録まで含む 書き方の注意 資料と同じ指示で渡す 足りないとき 12本そろえる 書いてよい範囲が広い 4回目の指示 使う資料(2種類に絞る) 実際に測った数字 公開済みの記事の本文 使わないもの 運営のなかのやり取り 足りないとき 本数を減らしてよい 書いてよい範囲が絞れる
3回目の前の指示は、使う資料の範囲が広く、本数も12本のままだった。
4回目は資料を2種類に絞り、使わないものと、足りないときの扱いを伝えた。

資料が足りなければ、本数を減らしてよい

4回目には、最初に頼んだ12本を必ずそろえる必要はない、とも伝えました。

使う資料を絞ると、12本分の内容が見つからないことがあります。それでも本数をそろえるよう求めたままだと、足りない分を資料にない話で埋めるおそれがあります。

今回は、資料に沿って書けた本数を優先し、10本を採用しました。

4回目に内容の面で変えたのは、使う資料を2種類に絞ったことと、本数の条件をゆるめたことの2つです。 同じ回に、文体の決まりを満たしているかの判定のしかたも変えています。どれか一つだけで同じ結果になったかは、確かめていません。

作り直しは減っても、確認は必要だった

その後、使ってよい資料をまとめた専用の一覧を作りました。測った数字と公開済みの記事に加えて、運営のなかで分かったことを1件ずつ書き足していく一覧です。

翌週分の投稿はこの一覧から作らせ、内容の問題で作り直しを頼むことはありませんでした。ただし、3回目と同じように書き方の注意が本文に混ざった投稿が1本あり、確認する担当の段階で外しています。

作り直しの往復が減ったのは、問題が起きなくなったからだけではありません。問題のある投稿を、確認の段階で外す形に変えたことも含まれています。

もう1つ、資料に書いてあることが、そのまま公開してよい情報とは限りません。3回目に本文へ混ざった書き方の注意も、こちらが渡したものの一部でした。運営の記録を資料にするなら、公開してよい箇所を先に決めておく必要があります。

書く担当は、毎回、自分で点検した結果を添えて提出していました。しかし、その点検結果と実際の文章が合っていないことが続きました。「点検済み」という報告だけで判断せず、出てきた文章を元の資料と照らし合わせる手順が必要でした。

次に依頼するとき、決めておくこと

文章作成を頼む前に決めておきたいことは、次の4つです。

決めること具体的に書くこと今回の経緯
参照する資料ファイル名や保存場所。長い資料なら、使う章や項目も指定する指定がないあいだは、タイトルから推測したり、一般論になったりした
公開してよい範囲本文に使ってよい箇所と、非公開の情報や書き手向けの注意を区別する3回目に、書き方の注意が本文に混ざった
資料が足りないときの扱い本数や分量を減らしてよいか、不足を知らせてほしいかを伝える4回目に、12本そろえなくてよいと伝えた
確認の方法投稿に含まれる数字や出来事を、元の資料と照らし合わせる書く担当の自己点検と、実際の文章が合わなかった

資料は、少なくすること自体が目的ではありません。必要な情報を見つけられて、どこまで使ってよいかが分かる状態にすることが目的です。

専用の一覧はやめ、記録を直接指定した

資料をまとめた専用の一覧は、その後やめました。

運営のなかで分かったことは、毎日の作業記録に書き留めていました。一方、それを一覧へ移すのは、週に1回まとめて行う手作業でした。投稿で使うペースに書き写しが追いつかず、一覧の中の、まだ投稿に使っていない資料がほとんど残らない状態が続きました。

いまは、作業記録そのものを参照先に指定しています。やめたのは書き写すための一覧で、使う資料を指定するやり方は続けています。

すでに記録を書き留めているなら、その場所と使ってよい箇所を直接指定する方法があります。別の一覧へ写す形にすると、写す作業が使うペースに追いつかないことがあります。

まとめ

  • 禁止事項を足すだけでは、何を使って書くかが決まらない。使う資料とその場所を指定し、範囲が広すぎないかも見る
  • 文章の材料と書き方の指示は分けて渡し、資料のどこまでを公開してよいかも先に決める
  • 資料が足りないときは、本数を減らしてよいと伝える。今回は、資料の絞り込み・本数の条件・文体の判定のしかたを同時に変えている
  • 作り直しが減っても、出てきた文章を元の資料と照らし合わせる確認は残す

今日のアクション

  • AIに文章を作らせている指示を1つ開く
  • 参照する資料と、その場所を具体的に書いているか確かめる
  • 資料のどこまでを公開してよいかが分かるか確かめる
  • 本文の材料と、書き方の指示を分けて渡しているか確かめる
  • 資料が足りないときの扱い(本数を減らしてよいか、不足を知らせてほしいか)を書き足す
  • 出てきた文章を元の資料と照らし合わせる手順があるか確かめる